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第一カッター興業
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企業分析
強み
第一カッター興業の強みは、高度な専門性と技術力にあります。特に、切断・穿孔工事事業においては、大型構造物の補修・撤去、特殊な環境下での切断・穿孔作業、グルービングマシンやコア特装車を用いた特定条件での切断・穿孔作業など、他社にはない独自の技術力を保有しています。また、産業洗浄技能士を常駐させることで、工場メンテナンスにおける洗浄作業の品質と安全性を確保しています。さらに、同社は長年の実績と経験に基づき、環境負荷軽減に配慮した施工方法にも対応しており、従来工法では困難な施工も可能にしています。近年は、ウォータージェット工法にも注力し、建設業界以外からの受注確保を目指しており、これにより建設業界への依存度を低下させる方針です。技術開発にも力を入れており、機械設備の改良・開発、現場に応じた治具の製作、新しい工法の研究を継続的に行っています。また、高速道路や鉄道などの輸送インフラ、長寿命化計画が不可欠な産業インフラをターゲットとする営業展開により、市況の影響を受けにくい計画的な売上確保を目指しています。
弱み
第一カッター興業の弱みとして、公共事業への依存度が高い点が挙げられます。同社の切断・穿孔工事事業は、公共事業関連工事が大部分を占めており、公共事業の削減は業績に悪影響を及ぼす可能性があります。同社は、ウォータージェット工法への注力や建設工事以外の受注確保により、この依存度を低減しようとしていますが、その施策が必ず成功する保証はありません。また、建設業界全体の状況が厳しく、得意先の倒産リスクも存在します。同社は多数の得意先と取引しているため、一顧客の倒産が業績に与える影響は少ないものの、建設業界全体の倒産動向によっては、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、同社の施工現場は、高所からの落下、重機の転倒、構造物の倒壊など、事故の危険性が高いというリスクも抱えています。加えて、同社は過去に連結子会社で不正な資金流用が発生しており、コンプライアンス意識の醸成とガバナンス体制の強化が課題となっています。人材育成においては、中核人材の登用における多様性確保には努めているものの、測定可能な目標の設定は今後の課題とされています。