1743
コーアツ工業
Metrics
企業分析
強み
コーアツ工業株式会社の強みは、プレストレストコンクリート(PC)技術を核とした専門性の高い建設事業と、PC関連を中心としたコンクリート製品の製造・販売です。特に橋梁工事においては、高い技術力を持ち、公共事業からの受注を多く獲得しています。また、連結子会社である株式会社ケイテックと連携し、橋梁や各種構造物の補修工事も行っています。 さらに、自社でコンクリート製品を製造している点も強みです。これにより、製品販売だけでなく、自社の建設事業においてもこれらの製品を活用でき、コスト削減や効率的な施工につながっています。また、型枠の賃貸事業も行っており、建設業界における多様なニーズに対応しています。 財務面では、安定した自己資本比率を維持しており、過去には70%を超える水準に達したこともあります。また、株主総利回りも高く、安定的な配当政策を実施しています。近年では、売上高と利益を大きく増加させており、特に2024年9月期には、売上高が前年度比22.5%増、当期純利益が前年度比160.5%増と大幅な増収増益を達成しています。 コーアツ工業は、サステナビリティへの取り組みも強化しており、低炭素コンクリートの開発や省エネ設備の導入、DXを活用した業務効率化などを推進しています。また、人材育成や労働環境整備にも注力しており、女性の活躍推進や働き方改革にも積極的に取り組んでいます。これらの取り組みは、企業の持続的な成長を支える基盤となっています。 ただし、公共事業への依存度が高い点や、資材価格や労務単価の高騰、建設業界における人材不足などはリスク要因として認識されており、今後の経営課題となっています。
弱み
コーアツ工業株式会社の事業における主な弱みとして、まず公共事業への依存度の高さが挙げられます。売上高の大部分(8割から9割)を公共工事が占めており、官公庁の予算削減や政策変更があった場合、業績に大きな影響を受ける可能性があります。また、民間工事においては、工事代金の回収前に取引先の信用不安が発生した場合にも業績悪化のリスクがあります。 さらに、建設業界全体の人材不足も同社の弱みとして挙げられます。高齢化や若者の建設業離れが進む中、慢性的な人材不足に陥っており、労務費の高騰も経営上の課題となっています。同社は人材確保のため、新卒採用や中途採用、未経験者の採用にも取り組んでいますが、業界全体の問題として解決が難しい状況です。 加えて、資材価格の高騰も経営を圧迫する要因となっています。建設資材や資源価格の高騰が請負金額に反映できない場合、利益を圧迫する可能性があります。また、品質管理には万全を期しているものの、瑕疵担保責任や製造物責任による損害賠償が発生した場合も、業績に影響を及ぼすリスクがあります。 技術者の育成と継承も重要な課題です。同社は技術者・技能労働者の人材育成に力を入れていますが、技術の継承は継続的な努力が必要です。 また、気候変動への対応も重要な課題です。建設事業やコンクリート製品事業では、セメントや鉄鋼などの製造時に温室効果ガスを多く排出するため、脱炭素社会への取り組みが求められています。 これらの弱みに対応するため、同社は低炭素コンクリートの市場化や省エネ設備の導入、DXを活用した業務効率化などを進めています。しかし、これらの課題は業界全体が抱える問題でもあり、持続的な企業成長のためには、より戦略的な取り組みが必要です。