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大末建設
大末建設 オルタナティブデータ
大末建設 株主総会議案データ
大末建設について
強み
大末建設の強みは、長年の歴史で培われた建設事業における豊富な経験と実績です。1937年の創業以来、土木建築請負業を基盤に事業を拡大し、特にマンション建設に強みを持っています。最近では、非マンション分野や不動産、土木事業への進出も積極的に進めており、事業ポートフォリオの多角化を図っています。 技術力も重要な強みであり、新工法の採用やICTの推進に力を入れています。タブレット配筋検査システムや建設現場支援ロボットの開発、鼻先PCa工法の採用拡大、ゼロエネ関連技術への取り組みなどを通じて、生産性の向上と品質の確保を図っています。また、産学連携や同業他社との共同研究も積極的に行い、技術力のさらなる向上を目指しています。 人材育成にも注力しており、従業員の「働きがい向上」「人材育成の加速」「多様な人材の活躍推進」を重視した人事戦略を推進しています。職責階層別の研修プログラムや若手社員向けの研修、資格取得促進策などを実施し、組織全体の能力向上を図っています。 財務面では、安定的な資金調達手段を確保しています。三菱UFJ銀行との間でコミットメントライン契約を締結しており、資金調達を市場の環境や金利の動向等を総合的に勘案した上で行っています。また、ミサワホームとの資本業務提携により、互いの強みを活かした事業戦略を推進し、企業価値の向上を目指しています。 リスク管理体制も強みの一つであり、建設業特有のリスクに対応するため、資材価格の変動に対しては価格転嫁交渉を契約段階で確認し、技術者や技能労働者不足に対してはDXの推進や新工法採用による省力化、効率化を進めています。 これらの強みを活かし、大末建設は持続的な成長を目指しており、株主還元を重視しています。配当性向50%以上を目標に掲げ、サステナビリティ委員会を設置し、気候変動などの課題への取り組みも推進しています。
弱み
大末建設の弱みとしてまず挙げられるのは、利益率の低さと収益性の課題です。売上高は増加傾向にありますが、経常利益や親会社株主に帰属する当期純利益は減少傾向にあり、収益構造に改善の余地があることを示唆しています。特に、2024年3月期には営業利益が前連結会計年度比15.7%減、経常利益が17.4%減、親会社株主に帰属する当期純利益が6.5%減と大幅な減益となっています。 キャッシュフローの悪化も懸念点です。2024年3月期には営業活動によるキャッシュフローが19億1900万円のマイナスとなっており、前年度の41億9200万円のプラスから大きく減少しています。これは売上債権の増加などが要因として挙げられており、資金繰りへの影響が懸念されます。 また、自己資本比率の低下も無視できない弱みです。2020年3月期の42.2%から2024年3月期には37.3%に低下しており、財務の安定性が損なわれる可能性があります。外部環境の変化や事業戦略の転換に柔軟に対応する上での制約となる可能性があります。 建設業界全体が抱える課題も、大末建設にとって弱みとなり得ます。建設業界特有のリスクとして、事業環境の変化、資材価格の変動、建設技術者・技能労働者不足などが挙げられており、これらの影響を受けやすい体質も弱みと言えるでしょう。特に、資材価格の変動はプロジェクトの長期化に伴い、収益を圧迫する要因となり得ます。 さらに、特定事業への依存度も課題です。マンション建設事業を主軸としている一方、市況の変化や競争の激化によって業績が大きく左右される可能性があります。非マンション分野への進出も進めていますが、事業ポートフォリオの多角化が不十分な状態では、リスク分散が十分にできていないと言えるでしょう。 これらの弱みを克服するために、大末建設は収益性の向上、キャッシュフローの改善、財務体質の強化、リスク管理の徹底、事業ポートフォリオの多角化などに取り組む必要があります。また、外部環境の変化に柔軟に対応できる組織体制の構築も求められます。