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熊谷組
熊谷組 オルタナティブデータ
熊谷組 株主総会議案データ
熊谷組について
強み
熊谷組の強みは、100年以上の歴史で培われた技術力と実績にあります。鉄道工事や水力発電所工事など、高度な技術が求められる大規模プロジェクトを数多く手掛けてきた実績は、同社の技術力の高さを証明しています。また、多様な事業展開も強みの一つです。土木、建築だけでなく、建設用資機材の製造販売、建設技術商品の提供など、周辺事業も展開することで、収益の安定化を図っています。さらに、グループ会社との連携も強みです。連結子会社や関連会社との協業により、技術力や施工能力を強化し、より幅広いニーズに対応できる体制を構築しています。例えば、テクノス㈱は建設事業に加え建設用資機材の製造販売を、㈱ファテックは建設技術商品の提供を行っています。また、技術開発への積極的な姿勢も強みです。再生改質アスファルトや全天候型常温合材の開発、木質系アスファルト舗装の再利用など、環境に配慮した技術開発にも力を入れています。さらに、従業員の育成にも注力しており、「人財育成計画」に基づいた様々な取り組みを実施し、従業員の意欲や誇りを高めることで組織力の向上を図っています。株主総利回りが高いことも特徴で、2024年3月期には138.6%を記録しています。
弱み
熊谷組の弱みとして挙げられるのは、建設業界全体が抱える技能労働者不足です。高齢化が進む中、若年層の入職率が伸び悩んでおり、将来的な技術継承が課題となっています。労働者不足は、他社との人材獲得競争を激化させ、労務費の高騰や受注高の減少につながる可能性があります。 また、建設資材の価格変動リスクも無視できません。建設資材の価格や労務単価が高騰した場合、公共工事では工事代金の変更を請求できますが、民間工事では発注者との協議が必要となり、必ずしもコスト増加分を回収できるとは限りません。さらに、不動産取得に伴う減損リスクも存在します。都市再生・再開発事業のために取得した不動産の収益性や市場価格が低下した場合、減損損失が発生する可能性があります。 自己資本比率が36.4%と過去の水準から低下している点も懸念材料です。また、建設業界特有の労働災害リスクも常に意識する必要があります。労働災害が発生した場合、指名停止などの処分を受け、受注高の減少につながる可能性があります。さらに、女性の勤続年数が短く、上位階層の女性の割合が低いことも課題です。これは、男女間の賃金差異の要因の一つとなっており、改善が求められています。