強み

徳倉建設株式会社の強みは、技術開発力、独自の工法、多様な人材の確保と育成、リスク管理体制、財務基盤、そして社会貢献への意識にあります。 まず、技術開発力において、同社は阪神淡路大震災を契機に社会インフラの維持修繕、防災・減災、環境配慮の分野で独自の技術開発に取り組んでいます。特に地下空洞の充填技術では、東日本大震災以降、多くの工事を受注しています。また、建設DX部門ではICTを活用した業務効率化・高度化に積極的に取り組んでいます。 LSS工法は、建設発生土のリサイクルと、狭隘な空間での埋戻し・充填を同時に達成できる独自技術として、都市部の土木・建築工事において高い信頼を得ています。また、ジュウテンバッグ工法では、地下充填技術を進化させ、護岸工事の空洞補修を安全かつ確実に修復する新工法を開発しました。これにより、能登半島地震後の港湾施設や漁港の復興にも貢献しています。 多様な人材の確保と育成にも力を入れており、年齢、性別、障がいの有無、国籍、人種、価値観にとらわれない採用活動を行っています。社員のキャリアアップを支援するため、資格取得支援制度や職種転換制度を整備し、働き方の多様性にも配慮しています。 リスク管理体制では、内部通報制度や内部監査室の充実を図り、持続可能な事業運営を支えています。また、社員の健康や職場環境にも配慮し、ハラスメント防止や健康診断のオプション検査などの取り組みも行っています。 財務基盤は安定しており、自己資本比率は33.6%で、株主総利回りも高い水準を維持しています。売上高や経常利益の計上により、安定した経営状況を維持しています。 最後に、社会貢献への意識として、ZEB（ネット・ゼロ・エネルギー・ビル）事業の推進や女性活躍の支援に積極的に取り組んでいます。 これらの強みを活かし、徳倉建設は持続的な成長を目指していくと考えられます。

弱み

徳倉建設株式会社の弱みとして、いくつかのリスク要因が挙げられます。まず、経営環境の変化に関して、同社の事業は民間設備投資と公共投資の市場動向に大きく左右される構造にあります。特に、建築セグメントは民間設備投資の影響を、土木セグメントは公共投資の影響を受けやすいため、これらの市場動向を注視する必要があります。 次に、人材の確保に関するリスクが存在します。人材の流動化が進んでいる中で、計画通りの人材確保ができない可能性や、社員の離職による総合力の低下が懸念されています。これに対して、同社は内部通報制度の整備やハラスメント相談窓口の設置、健康面での配慮など、職場環境の改善に努めています。 さらに、取引先の信用リスクも影響を与える可能性があります。発注者や協力業者、共同施工業者が信用不安に陥った場合、工事代金の回収不能や遅延、工期の延長、追加原価の発生などが発生し、業績に悪影響を与える可能性があります。このリスクに対して、同社は契約締結前に取引先の信用情報を確認する取り組みを行っていますが、リスクを完全に排除することは難しいと言えます。 また、自然災害や労働災害、保有資産の時価変動、金利上昇、海外事業の為替変動やカントリーリスクなどの外部要因も、同社の業績に影響を及ぼす可能性があると認識されています。特に、海外事業の売上高が10%未満であるため、経営成績への影響は比較的小さいとされています。 最後に、大規模工事における工事原価総額の見積もりに不確実性が伴う点も弱みとして挙げられます。工事の長期化や設計変更、追加工事が発生することで、工事原価の見積もりが見直される可能性があり、その結果、翌連結会計年度の損益に影響を与える可能性があります。