1963
日揮ホールディングス
日揮ホールディングス オルタナティブデータ
日揮ホールディングス 株主総会議案データ
日揮ホールディングスについて
強み
日揮ホールディングス株式会社の強みは、総合エンジニアリング事業における長年の経験と実績、高機能材製造事業での技術力、そして将来を見据えた戦略的な事業展開力にあると考えられます。 総合エンジニアリング事業では、特に海外での大型プロジェクトで豊富な実績を持ち、競争力と収益力の向上に注力しています。リスク管理やプロジェクト調整力を強化し、ジョイントベンチャーの組成、デジタル技術の活用、建設工法の効率化を進めています。また、LNG受入基地やガス火力発電、太陽光発電、バイオマス発電、医薬品、病院、化学分野など、成長市場への進出も推進しており、事業の多角化を図っています。 高機能材製造事業においては、触媒、ファインケミカル、ファインセラミックス製品など、多彩な製品ラインを展開しています。既存事業を基盤に、プロパーケミカル触媒やハードディスク用研磨材、半導体製造装置関連素材の開発を強化し、収益の拡大を目指しています。さらに、ファインケミカルの新製品開発や高熱伝導窒化ケイ素基板の生産設備投資、カーボンリサイクル向け触媒、全固体電池用素材、骨再生材料などの次世代事業開発にも積極的に取り組んでいます。 同社は「2040年ビジョン」のもと、エネルギートランジション、ヘルスケア・ライフサイエンス、高機能材の3領域を成長の柱とし、新たなビジネスの創出を進めています。カーボンマネジメントや洋上風力、スマート運用管理、水素エネルギー、燃料アンモニア、小型モジュール原子炉などの事業を推進すると同時に、デジタルヘルスケアやスマートホスピタルなどの分野にも注力しています。 財務面では、自己資本比率を安定的に維持することを目指し、堅実な基盤を保っています。また、市場の変動にも対応できるよう十分な流動性を確保しており、金融機関との強固な関係性を活用しています。 さらに、コンプライアンス体制やリスク管理、情報セキュリティの強化を進め、持続可能な事業運営を実現するための基盤を築いています。
弱み
日揮ホールディングス株式会社の弱みとしては、事業環境の変化に左右されやすい点や、プロジェクト遂行時の採算リスク、コスト上昇への対応、技術革新への適応、特定市場への依存度が挙げられます。 総合エンジニアリング事業においては、プラント建設プロジェクトの採算が外部環境に大きく影響を受けやすいという課題があります。具体的には、自然災害や疫病、為替変動、工事従事者の不足や賃金高騰、資材費や原燃材料費の上昇などが、プロジェクトの遅延やコストの増加を引き起こし、収益性を悪化させるリスクを抱えています。特に海外プロジェクトでは、これらのリスクが顕著化する可能性があります。また、経済制裁や国際的な紛争、インフレーションによる影響も、資材調達や輸送に混乱をもたらし、利益率の低下につながる恐れがあります。 さらに、化石燃料関連事業への依存も課題となっています。脱炭素化が進む中、顧客企業の化石燃料関連投資が抑制されることで、開発案件の減少や受注競争の激化、価格競争の激しさが影響を与える可能性があります。このような社会や産業全般の変化に適切に対応できない場合、同社の経営成績や財政状態に悪影響が及ぶリスクがあります。 高機能材製造事業では、半導体やハードディスク市場の需要減少により、市場動向に左右されるリスクがあります。販売拡大を目指して新たなプラント建設などの対策を講じていますが、市場の不確実性は依然として大きいと言えます。また、技術革新への対応も課題であり、カーボンリサイクルや全固体電池など次世代技術の分野での競争に遅れる可能性が指摘されています。 財務面では、プロジェクト遂行に多額の運転資金を必要とするため、キャッシュフローの変動に影響を受けやすい点が懸念されています。また、設備投資などに伴う支出がキャッシュフローを圧迫する可能性もあります。 品質リスクに関しても、調達品の不具合や品質不良が発生した場合、顧客からの訴訟や請求、さらには企業評価の低下につながるリスクがあります。加えて、情報セキュリティの分野でも、サイバー攻撃や機密情報の漏洩、システム停止といった問題が発生した場合、事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。 これらの課題に対処するため、同社はさまざまなリスク管理策を講じていますが、完全に回避することは難しく、今後も継続的な対応が求められます。