強み

森永乳業の強みは、まず長年にわたり培ってきたブランド力と幅広い製品ポートフォリオです。市乳、乳製品、アイスクリーム、飲料といった多様な製品群を持ち、それぞれのカテゴリーで高い市場シェアを誇っています。品質管理体制も強みの一つで、製造現場だけでなくサプライチェーン全体で安全と品質を確保する「森永乳業グループ品質ポリシー」を定めています。また、研究開発力も高く、独自の技術やノウハウを活かした新製品開発を積極的に行っています。酪農家や酪農組織との連携を密に行い、生乳の安定的な調達と品質向上に努めている点も強みです。さらに、国内だけでなく海外にも事業展開しており、特にアジア地域での成長が期待されます。コーポレート・ガバナンス体制も整備されており、社外取締役や社外監査役による監督機能も強化されています。人事報酬委員会を設置し、役員の選解任や報酬決定の透明性と客観性を高めている点も評価できます。財務面では、自己資本比率が49.0%と安定しており、キャッシュフローも改善傾向にあります。これらの要素が複合的に作用し、森永乳業の競争優位性を支えています。

弱み

森永乳業の弱みとして、まず原材料の調達リスクが挙げられます。生乳をはじめとする主要原材料の価格は、国内外の需給状況や関税制度、為替レートなどによって変動する可能性があり、コスト増につながるリスクがあります。また、乳製品の関税制度が変更された場合も、業績に影響を及ぼす可能性があります。食品の安全性に関するリスクも無視できません。大規模な回収や製造物責任賠償につながるような製品事故が発生した場合、業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、為替レートの変動も業績に影響を与える要因の一つです。内部統制については、整備・運用に努めているものの、不十分な点も存在し、改善が必要な場合もあります。投資有価証券については、市況や投資先の業況によって減損処理が必要となる可能性があり、経営成績に影響を与える可能性があります。また、退職給付費用や債務も、割引率などの前提条件が変動した場合、将来の費用や債務に影響を与える可能性があります。これらのリスク要因を適切に管理・対応していくことが、今後の課題と言えます。