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アルバイトタイムス
Metrics
企業分析
強み
株式会社アルバイトタイムスの強みは、無料求人情報誌『DOMO』と採用管理システム『ワガシャ de DOMO』という2つの事業を軸にした情報提供事業と販促支援事業の展開にあります。求人広告メディアの売上がマッチング手法の進化により下げ止まりの傾向にあるものの、『ワガシャ de DOMO』の販売や正規社員領域の販売が増加しており、売上が伸びています。さらに、『ワガシャ de DOMO』はサブスクリプション型の課金モデルを採用しており、利用料収入が同社の収益に貢献しています。 販促支援事業では、フリーペーパーの取次量が減少しているものの、イベント・レジャー関連企業の集客活動が回復しつつあります。また、同社の連結子会社である株式会社リンクは、フリーペーパーの流通ノウハウを活かし、スーパーや駅などにラックを設置して、さまざまな事業者の発行するフリーペーパーやパンフレットを掲出するサービスを提供しており、独自の流通網を維持しています。 同社は自律型人材・プロフェッショナル人材の積極的な活用を掲げ、専門領域に対応できる人材の育成と活用に力を入れています。また、内部統制を整備し、リスクマネジメント委員会を設置してグループ全体のリスクを統括的に管理しています。さらに、コンプライアンス問題を発見した場合の迅速な報告体制や社内通報制度を設けており、情報セキュリティ対策の強化にも取り組んでいます。 これらの事業展開と組織体制により、同社は求人広告メディア市場の下降トレンドの中でも、新規事業の開発や既存事業の成長を加速させ、収益基盤の拡充を目指しています。
弱み
株式会社アルバイトタイムスの弱みとして、まず求人情報媒体事業への収益依存度が高い点が挙げられます。求人情報メディア市場の動向に業績が大きく左右されやすく、広告収入が増加する局面では利益が大きく増加しますが、減少局面では人件費などの固定費負担を吸収しきれず、利益が大きく減少する特徴があります。このため、同社は求人情報メディア市場の動向に大きなリスクを抱えていると言えます。 販促支援事業においては、フリーペーパーの取次量が減少傾向にあることが指摘されています。顧客の販売促進費圧縮やフリーペーパーの廃刊・休刊が影響していると考えられます。一方で、イベント・レジャー関連企業の集客活動は徐々に回復しているものの、販促支援事業全体の売上は依然として減少傾向にあります。 また、同社の事業展開には自然災害や感染症などのリスクも考慮しなければなりません。これらの事態が発生した場合、フリーペーパーの発行やインターネット媒体の運営に支障が生じ、サービス提供が困難になる可能性があります。特に、新型コロナウイルス感染症のような経済停滞は、求人企業の採用抑制や採用意欲の低下を招き、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 財務面では、自己株式の取得によって純資産が大きく減少しています。2024年2月期の連結会計年度末には、純資産が前年度末比で20.9%減少し、自己資本比率も83.6%に低下しています。また、現金及び現金同等物も大幅に減少しており、財務活動の結果、919百万円の資金が使用されています。これは、自己株式の取得や配当金の支払いによる支出が主な要因です。 加えて、人材ビジネス市場の変化も同社にとっての課題です。求人広告メディア市場が下降トレンドにある中で、HRテックやアグリゲーションメディアなどの新しいリクルーティングモデルが拡大しており、これらの変化に迅速に対応する必要があります。 最後に、同社は女性管理職比率や男女間の賃金格差に関する具体的な目標値を設定できていないという課題があります。これらの指標については2025年2月までに設定予定とされており、今後の改善が期待されます。