強み

博報堂DYホールディングスグループの強みは、事業会社間の連携と最適なサービス提供体制を構築している点にあります。グループはマーケティングノウハウ、テクノロジー、生活者データを活用し、自社開発の「統合マーケティングプラットフォーム」を推進しています。このプラットフォームにより、データ駆動型のフルファネルマーケティングを高度化・効率化し、特にデジタルマーケティングやコマースビジネスの強化を通じて事業規模の拡大を目指しています。また、広告会社としての基盤を持ちながら、その枠を超えた価値提供を行うことで、事業の安定性向上も図っています。 さらに、グローバルな事業展開と多様な企業との連携も強みとして挙げられます。グループは海外に多数の子会社や関連会社を持ち、地域に根差した事業展開を行い、国内外の企業との資本関係や業務提携を通じて事業の多角化と専門性の向上を実現しています。これにより、グループ全体としてより高度で幅広いサービスを提供できる体制が整っています。 組織体制では、コンプライアンス体制を強化し、リスク管理を徹底しています。取締役会や経営会議を通じて経営管理が強化され、事業会社の自立と連携が促進される環境が整備されています。 これらの強みを活かし、博報堂DYホールディングスグループは、変化するビジネス環境に対応し、持続的な成長と企業価値の向上を目指しています。

弱み

博報堂DYホールディングスグループの弱みとして、まず広告業界特有の取引慣行に起因するリスクが挙げられます。契約書を締結しない慣習が一般的であり、このため広告主との間で取引内容や条件に関する疑義や紛争が生じる可能性があります。また、広告主が倒産した場合などに債権を回収できない場合、広告会社が媒体料金や制作費を負担することとなり、財政状態に悪影響を与える可能性があります。 さらに、広告主との関係性におけるリスクも存在します。広告主がコスト削減や取引関係の合理化を求める状況では、取引関係が解消または縮小される可能性があり、その結果、報酬水準が保証されないことになります。法規制の導入や変更、広告主の広告活動の減少もグループの財政状態に影響を及ぼす恐れがあります。 内部統制に関する課題も指摘されています。連結子会社である博報堂や日本トータルテレマーケティングにおいて、取引先に対する過大請求が判明しており、内部統制を強化する必要があります。さらに、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に関する業務委託契約において独占禁止法違反の疑いがあり、起訴された事件も発生しており、再発防止策の徹底が求められています。 組織面では、管理職における女性労働者の割合が低いという課題があります。また、退職給付制度において一部が確定拠出年金に変更されましたが、確定給付年金も残されているため、制度変更による影響が完全に排除されていない点が挙げられます。 海外事業については、北米事業の業績悪化が指摘されており、海外子会社の事業計画の進捗に不確実性があることも懸念されています。 これらの弱みを踏まえ、グループはリスク管理体制の強化、内部統制の徹底、多様な人材の育成、海外事業の立て直しなど、複数の課題に取り組む必要があります。