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東洋紡
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企業分析
強み
東洋紡の強みは、多岐にわたる事業ポートフォリオと、各分野での高い技術力です。フィルム事業においては、液晶偏光子保護フィルムで約60%の市場シェアを持ち、独自の超複屈折ポリエステルフィルム技術を有しています。また、セラミックコンデンサ用離型フィルムなど、高度な技術を要する製品の開発・製造能力も強みです。ライフサイエンス分野では、酵素等生産設備の増強を進め、バイオテクノロジー分野での競争力を強化しています。機能繊維事業では、エアバッグ用基布など、自動車産業に不可欠な製品を提供しています。また、同社は環境問題への対応にも力を入れており、石油由来資源の使用量削減を目指した製品開発を進めています。さらに、働き方改革を推進し、育児・介護支援制度を充実させており、男性の育児休業取得を奨励するなど、従業員が働きやすい環境づくりに注力しています。これらの取り組みが、「プラチナくるみん」認定の取得にもつながっています。健康経営にも注力しており、「健康経営優良法人2024(大規模法人部門)ホワイト500」に認定されるなど、企業価値向上に繋がる取り組みも強みです。
弱み
東洋紡の弱みとして、まず指摘されるのは、特定の事業における外部環境への依存度の高さです。例えば、フィルム事業では、売上高の約90%が石油由来資源に依存しており、脱炭素社会への移行に伴うリスクを抱えています。また、ライフサイエンス事業では、PCR検査用試薬の需要が感染症の状況に大きく左右されるため、需要変動の影響を受けやすい側面があります。環境・機能材事業においては、電子材料用途での需要回復の遅れが見られ、市場の変化に柔軟に対応する必要があることも課題です。機能繊維・商事事業では、エアバッグ用基布の販売量が自動車生産の回復に左右されるため、自動車業界の動向に影響を受けやすいと言えます。さらに、不織布マテリアル事業では競争激化が進んでおり、収益性の改善が課題となっています。従業員数は2020年から2024年にかけて減少しており、人員配置の最適化も重要な課題と考えられます。これらの課題に対し、事業ポートフォリオの再構築や、新たな技術開発を通じた事業の多角化が求められます。