強み

ダイドーリミテッドの強みは、長年にわたり培ってきた「お客様第一」「品質本位」の経営理念に基づいた高品質な衣料品の提供と、それらを支える一貫生産体制にあります。1879年の創業以来、顧客に高品質な衣料品を適切な価格で提供することを目指し、事業を展開してきました。 衣料事業では、製造部門と販売部門が一体となり、品質と魅力のある商品を国内外に提供しています。不動産賃貸事業では、保有する資産を有効活用し、地域特性に合わせた価値向上に取り組んでいます。さらに、同社は1949年に企業再建整備法により大同毛織株式会社として新発足し、1950年には株式を東京証券取引所と名古屋証券取引所に上場しており、歴史と実績のある企業であることも強みの一つです。 人材育成にも力を入れており、正社員登用制度や各種研修を通じて、優秀な人材のモチベーション向上と定着を図っています。具体的には、新任管理職研修、幹部研修、次世代リーダー研修、管理職ダイバーシティ研修などを実施しています。 また、多様性を尊重する企業として、障がい者雇用やがん治療休暇制度、育児・介護休職制度など、多様な働き方を支援する制度を構築し、従業員が働きやすい職場づくりを目指しています。さらに、メンタルヘルス相談窓口を設置し、従業員の心の健康保持促進にも取り組んでいます。 コーポレート・ガバナンス体制も整備されており、機動的な意思決定とグループ企業の効率的な運営を図っています。取締役会は、会社経営に関する重要事項を決定するとともに、取締役・執行役員の職務執行を監督しています。また、リスク管理委員会を設置し、全社的なリスクを管理しています。 これらの要素が組み合わさり、ダイドーリミテッドは、高品質な製品と顧客満足度の高いサービスを提供できる企業としての地位を確立しています。

弱み

ダイドーリミテッドの弱みとして、まず長期にわたる営業損失が継続している点が挙げられます。特に直近3年間においては、新型コロナウイルス感染症の影響からの回復を図るために事業変革に取り組んだものの、2024年3月期においても営業損失および経常損失を計上する結果となっています。この業績低迷からの脱却が喫緊の課題です。 また、男女間の賃金差異も課題として認識されています。特に、ダイドーリミテッドでは男性管理職の割合が高いため、正規雇用労働者間での賃金差異が大きくなっています。パート・有期労働者においては、ダイドーリミテッドとダイドーフォワードでは労働日数や労働時間が短い女性の比率が高いことが、ブルックス ブラザーズ ジャパンでは労働日数や労働時間が短い男性の比率が高いことが、それぞれ賃金差異に影響を与えていると分析されています。 さらに、経済情勢や為替レートの変動、取引先の経営状況の急激な変化なども、同社の経営成績や財務状況に影響を与えるリスクとして認識されています。これらの外部要因によって、損失が発生する可能性があるため、リスク管理体制の強化が求められます。また、製造物責任に関わる製品事故による社会的信頼やブランドイメージの低下もリスクとして挙げられており、品質保証の仕組みの維持が重要です。 加えて、繰延税金資産の回収可能性も監査上の主要な検討事項として挙げられています。繰延税金資産は、将来の税金負担額を軽減できる範囲内で計上されますが、その回収可能性は翌年度の事業計画における製品の販売予測などの主要な仮定に基づいているため、不確実性を伴い、経営者の判断が必要となります。 これらの弱みを克服するために、ダイドーリミテッドは、より強固な利益体質を構築し、株主への適切なリターンを目指す必要があるとされています。