強み

フージャースグループの強みは、多岐にわたる事業ポートフォリオと、それらを支える経営戦略にあります。 まず、複数の事業セグメントを展開することで、市場の変動リスクを分散し、安定的な収益基盤を構築しています。具体的には、不動産開発事業では新築マンション分譲事業で実績があり、CCRC事業ではシニア向けマンションの分野に特化した専門性を発揮しています。 また、多様化するニーズに対応することにより、市況に左右されにくい事業基盤を築いています。これにより、安定した収益の確保と事業の継続を目指しています。 株主総利回りについては、2024年3月期に206.0%を達成し、市場平均を上回る高い実績を誇ります。この結果は、株主への積極的な利益還元と企業価値向上への取り組みの成果といえるでしょう。 ガバナンス体制にも強みがあります。取締役会には4名の社外取締役が含まれており、監査等委員会も社外取締役を中心に構成されています。これにより、経営の透明性と公正性が確保されています。また、サステナビリティ委員会やコンプライアンス・リスク管理委員会を設置し、リスク管理体制を強化しています。 内部統制の強化にも取り組んでおり、内部監査室が代表取締役社長執行役員の直属の部門としてグループ全体の内部監査を実施しています。これにより、法令遵守と経営効率化を両立させています。 さらに、多様な資金調達手段を駆使し、自己資金に加えて、金融機関からの借入や社債の発行を通じて事業運営に必要な資金を安定的に確保しています。これにより、機動的な事業展開と成長を支えています。

弱み

フージャースグループの弱みとしては、いくつかの課題が挙げられます。 まず、事業環境リスクがあります。気候変動リスク、金利変動リスク、感染症パンデミックリスクなどの外部要因が影響を与える可能性があり、特に金利変動は事業資金の調達コスト増加や住宅ローン金利の上昇を引き起こし、販売の鈍化を招く恐れがあります。これらのリスクに対する対応が求められます。 次に、減損損失のリスクがあります。不動産投資事業における固定資産や長期前払費用に対して減損処理を実施することがあり、これが当期純利益の大幅な減少につながる可能性があります。 また、男女間賃金格差も課題の一つです。全労働者における男女の賃金格差は17.4％であり、正規雇用労働者においては25.0％となっています。この格差を縮小するための取り組みが必要です。 さらに、有利子負債の問題もあります。連結会計年度末時点で有利子負債残高は91,613百万円、ネット有利子負債は62,611百万円となっており、金利変動リスクや資金繰りのリスクが増大する可能性があります。 収益性の低下も一部の部門で見られます。スポーツクラブ施設などの一部の資産において収益性が低下しており、減損損失を計上しています。 また、会計基準の変更による影響もあります。新たに適用された「収益認識に関する会計基準」などが経営指標に変動をもたらし、過去の数値との単純比較が難しくなっています。 最後に、依存度の高い事業セグメントがあります。売上高において、㈱フージャースコーポレーションと㈱フージャースアセットマネジメントの割合が10％を超えており、これらの事業セグメントに依存している構造となっています。 これらの弱みを克服するためには、リスク管理体制の強化、賃金格差の是正、財務体質の改善、収益性の向上が重要な課題となります。