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東武住販
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企業分析
強み
株式会社東武住販の強みは、中古住宅の買取再販事業における独自のノウハウと、地域密着型の事業展開にあります。同社は、築20~40年程度の中古住宅を仕入れ、リフレッシュ・リフォームを施すことで、リーズナブルな価格で住宅を提供しています。特に年収300万円前後の一次取得者層に多くの実績があります。 非価格競争力として、同社は豊富な商品在庫を抱えることができる財務体質を活かし、顧客に幅広い選択肢を提供しています。また、長年の戸建住宅売買仲介の経験から、買主が購入後に必要となるリフォーム工事を把握しており、適切な価格設定が可能となっています。 価格競争力の面では、自社不動産売買事業に加えて不動産売買仲介事業でも豊富な取引実績があり、新築住宅を含めた妥当な価格設定を実現しています。さらに、地元不動産事業者との繋がりが、売買情報の入手にも役立っています。 同社は地域に密着した事業展開を行っており、山口県、福岡県、広島県、大分県、佐賀県、熊本県の17市町村に20店舗を展開しています。各店舗は地域ごとの不動産営業部として営業活動を行い、顧客に寄り添ったサービスを提供しています。 また、環境への配慮も同社の強みの一つです。中古住宅の流通促進を通じて、空き家対策を支援し、建て替えによる廃材の増加を抑制しています。特に木造戸建住宅は、二酸化炭素の貯蔵量が多く、環境保護に貢献できると認識しています。 さらに、同社は自己資本比率60%以上を維持することを目標としており、財務体質の強化にも努めています。また、人材育成にも力を入れており、研修制度の充実や従業員のキャリア形成を支援しています。
弱み
株式会社東武住販の弱みとして、まず人材の確保と育成が挙げられます。同社は営業力強化のために採用を強化し、研修の充実を推進していますが、住宅販売に必要な資格などの問題もあり、十分な人員を確保できていない状況です。組織や営業力の向上も発展途上にあると認識しており、今後は給与や勤務時間などの雇用条件の改善、福利厚生の充実を図ることで人材の確保と離職防止を目指しています。 次に、事業基盤のぜい弱性が指摘されるのは、その他事業である介護福祉事業です。同社は介護福祉事業において、顧客の多様なニーズに応えようとしていますが、依然として事業基盤がぜい弱であると認識しており、今後は商品の品揃えの強化、シルバーリフォームの提案力強化、新たな取引先の開拓などを通して事業基盤の強化を図るとともに、不動産売買事業や不動産賃貸事業との連携によるシナジー効果も目指しています。 また、外部環境の変化に対する脆弱性も懸念されます。不動産売買事業は、景気、金利、地価、税制、政策などによって顧客の購入意欲が大きく左右されます。特に金利上昇は、ローン金利の負担増加につながり、顧客の買い控えを招く可能性があります。さらに、販売用不動産の仕入れと工事原価もリスク要因です。競争激化や経済環境の変化による仕入価格の上昇、建材価格の上昇、人件費の上昇などが、収益を圧迫する可能性があります。また、再生基準に適合する中古住宅を十分に確保できない場合も、事業に影響を及ぼす可能性があります。 在庫管理も重要な課題です。同社は中古住宅を仕入れてリフォーム後に販売するため、費用を先行して負担しており、滞留在庫が増加すると有利子負債も増加し、財務体質が悪化する可能性があります。この課題に対応するため、業務基幹システムを通じた在庫管理機能の強化や、保有期間の基準設定による早期売却の促進を図っています。 加えて、特定の人物への依存もリスクとして挙げられます。代表取締役社長である荻野利浩氏は、同社の創業者であり、筆頭株主でもありますが、同氏に不測の事態が生じた場合、経営に影響を及ぼす可能性があります。 さらに、自然災害も事業継続におけるリスクです。同社の営業エリアである中国地方や九州地方は、台風や豪雨、特に線状降水帯の発生が多い地域であり、自然災害による中古住宅の破損や顧客の購買意欲の減退が懸念されます。これらのリスクに対応するため、同社は中古住宅の耐震性能を高める対策を講じています。 最後に、競争激化もリスクの一つです。同業他社の参入や競争力の低下は、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。これらの弱みを克服するために、同社は様々な施策に取り組んでいますが、依然として課題は多く、今後の事業展開において注視していく必要があります。