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旭化成
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企業分析
強み
旭化成グループの強みは、多岐にわたる事業ポートフォリオと、コア技術である膜、フィルター、吸着材等による濾過・分離技術を、化学、機械工学、医薬分野での幅広い知見や保有技術と高度に融合させることで、高度な製品やサービスを提供している点です。特に、マテリアルセグメントでは、環境対応車の需要増加に伴い、リチウムイオン電池向け部材の需要が高まっており、中期的には電気自動車市場の成長を期待しています。また、最先端半導体プロセス向けの感光性樹脂材料「パイメル」の増産も決定しており、成長が期待されています。住宅セグメントでは、旭化成ホームズが連結売上高の大きな割合を占めており、安定した収益基盤となっています。ヘルスケアセグメントでは、医療水準を向上させる製品、技術、サービスを提供し、心肺関連疾患の診断・治療・管理領域でも研究開発を進めており、高度な医療ニーズに対応する技術力と開発力が強みです。さらに、人事制度においても、タレントマネジメントシステムを導入し、人財の可視化を進め、グループ全体での人財活用力を高めています。また、公募人事制度により、社員が自らの意思で部署異動し、新たな環境に挑戦する機会を提供しており、人材育成にも力を入れています。
弱み
旭化成グループの弱みとして、まず事業環境の変化による影響を受けやすい点が挙げられます。米中デカップリング、ロシア・ウクライナ情勢、中東情勢などの国際関係の緊張の高まりにより、事業環境が激しく変化しており、新たなリスクや複雑化するリスクがグループに及ぼす影響が大きくなっています。特に、マテリアルセグメントでは、環境ソリューション事業におけるハイポア™への投資額が増加している一方で、利益が低迷している状況にあり、電気自動車市場の不透明感も足元の課題となっています。また、デジタルソリューションにおいては、汎用的な製品が市場の影響を受け、利益成長が鈍化しており、市況変動によるリスクも抱えています。具体的には、原油やナフサ価格の変動が石油化学製品の製造・販売事業に影響を与えます。さらに、競合企業のキャッチアップや新規参入、技術革新、需要構造の変化などによる競争激化もリスク要因です。事業の構造転換を進める中で、売上高で合計1,000億円以上の事業改革を目指していますが、事業の構造転換は、既存のアセットを最大限活用することでのキャッシュ創出と並行して進めなければならないという課題もあります。また、管理職に占める女性労働者の割合が低いことも課題であり、ダイバーシティの推進が求められています。