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花王
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企業分析
強み
花王株式会社の強みは、生活者の共感を獲得するブランド育成にあります。同社は、パーパスドリブンなブランド育成を経営方針の柱としており、ロイヤルティ・マーケティングを通じて生活者との強い絆を築き、高収益体質を強化しています。 また、ESG(環境、社会、ガバナンス)を経営戦略に組み込み、パーパスに基づいた「ESGよきモノづくり」を推進しています。リスク管理においては、リスクの重要性を定期的にモニタリングし、経営への影響が大きいリスクを「コーポレートリスク」として経営会議で選定し、管理しています。機会管理においては、重点テーマを管理し、ESG投資を促進する仕組みを構築し、戦略的な事業展開につなげています。 さらに、花王はグローバルな人財マネジメントと育成にも力を入れています。グローバル人財情報システムを活用し、共通のOKR・等級制度・評価制度・教育体系・報酬ポリシーを導入し、人財マネジメントと育成を強化しています。また、「平等から公平へ」、「相対から絶対へ」、「画一・形式から多様・自律へ」といった基本方針を掲げ、人財開発活動を進めています。脱マトリックス型組織運営として、事業部門と機能部門の自由度を活かした「スクラム型運営」を進め、決断実行の現場化を図っています。次世代リーダーの育成にも注力し、計画的な教育・配置任用・課題付与を行い、組織運営の持続性を高めています。
弱み
花王株式会社の弱みとしてまず挙げられるのは、事業環境の不確実性です。気候変動などの環境問題や人権問題、高齢化社会の進行といった社会課題に加え、地政学リスクの継続など、事業を取り巻く環境は依然として不透明です。さらに、事業のグローバル化が進む中で、様々な分野で構造的な変化が見られ、これらの変化に迅速かつ適切に対応する必要があります。 次に、人材の確保と定着が課題となっています。人材の流動性が高まり、採用競争力が低下すると、計画通りに人材の獲得が進まないことが懸念されます。また、社員の離職によって組織全体の総合力が低下するリスクもあります。これに対して、社員に成長の機会を提供し、活躍しやすい環境を整えることが重要な取り組みとされています。 業績の変動も懸念点の一つです。売上高や利益が減少傾向にあり、特に収益性の改善が求められています。株価収益率(PER)の上昇も市場からの評価の変化を示唆しており、今後の対応が必要とされています。 さらに、花王は原材料の調達においてもリスクを抱えています。天然油脂や石油関連の原料の市場価格は、世界景気や地政学的リスク、需給バランスの影響を受けやすく、安定的な調達が課題です。これに対して、サプライチェーンの強化や代替原料の確保など、様々な対策が講じられていますが、引き続き注意深く見守る必要があります。