4635
東京インキ
Metrics
企業分析
強み
東京インキの強みは、長年の歴史で培われた技術力と多角的な事業展開にあります。1923年の設立以来、印刷インキの製造・販売を基盤とし、そこから派生して各種プラスチック着色剤、機能性製品、樹脂加工品へと事業範囲を拡大しており、市場のニーズに合わせた製品開発力を有しています。特に、「分析評価技術」を基盤技術とし、新規技術の調査・探求、研究成果を融合させ、高品質な製品の創出に努めています。また、国内だけでなく海外にも展開しており、タイに現地法人を設立し、グローバルな事業展開を行っています。さらに、同社は顧客との連携を重視しており、インキ事業における販売の維持および強化を目的として、大王製紙㈱、ハリマ化成グループ㈱などと取引関係を築き、株式を保有しています。また、サステナビリティ活動にも力を入れており、環境負荷低減を意識した新製品開発を推進しています。加えて、多様な人材の育成と確保にも注力し、女性が活躍できる職域を広げ、外国籍の採用や専門性を持つ中途社員の採用も行っています。財務面では、自己資本比率が55.7%と安定しており、健全な経営基盤を築いています。
弱み
東京インキの弱みとして、まず市況変動の影響を受けやすい点が挙げられます。原油価格や為替の動向が業績に影響を与える可能性があり、特に原材料価格の上昇は収益性の低下を招く要因となります。また、印刷市場の縮小も懸念材料であり、デジタル化の進展に伴い、印刷インキの需要が減少するリスクがあります。化成品事業では、包装材・容器用マスターバッチの需要が環境対応の加速化により縮小しており、新たな用途や分野への進出が課題となっています。また、技術伝承の失敗や途絶もリスクとして認識しており、技術等伝承の人材育成の教育プログラム導入を進めています。さらに、同社は労働災害リスクを重要なリスクとして捉えており、化学品の危険性や有害性の多様化に対応するため、全社的な取り組みを継続する必要性を認識しています。 海外子会社におけるリスク管理も課題であり、子会社管理の強化を重点監査項目としています。 収益性に関しても、2024年3月期の経常利益は前年度比で大幅な減益となっており、米国連結子会社の出資分配益の計上がなくなったこと等が要因として挙げられています。これらの課題に対し、同社は競争力強化と顧客満足の向上、事業ポートフォリオの見直しを進めていくとしています.