強み

ライオン株式会社の強みは、長年にわたり培ってきた研究開発力にあります。同社グループは、「次世代ヘルスケアのリーディングカンパニーへ」という経営ビジョンを掲げ、「健康」、「快適」、「清潔・衛生」を通じた新たな顧客体験価値の創造に取り組んでいます。オーラルケア分野では、口腔科学を中心とする研究成果を活かした製品開発を行っており、ハミガキ、ハブラシ、デンタルリンスなどの製品を提供しています。また、界面科学や合成技術を基盤とした産業用品事業では、導電性材料や機能性ポリマーなど、多様な分野で製品開発を行っています。 さらに、多様な人材が活躍できる環境づくりも強みの一つです。同社は、多様な価値観や考え方を持つ人材が、個性や能力を存分に発揮して活躍することを目指しており、従業員の心と体のヘルスケアを支えることで人材力の強化につなげ、持続可能な企業成長を目指しています。具体的には、管理職に占める女性労働者の割合を30％以上にするという目標を掲げ、ダイバーシティ＆インクルージョンの推進に取り組んでいます。 また、サステナビリティへの取り組みも積極的に推進しており、脱炭素社会の実現に向けて、事業所活動におけるCO2排出量やライフサイクルにおけるCO2排出量の削減目標を設定しています。さらに、資源循環型社会の実現に向けて、プラスチック使用率の低減や、持続可能な水使用量の削減にも取り組んでいます。これらの取り組みは、企業の社会的責任を果たすだけでなく、長期的な企業価値の向上にも貢献すると考えられます。

弱み

ライオン株式会社の弱みとして、まずキャッシュ・フローの変動が挙げられます。当期は、営業活動によるキャッシュ・フローは増加したものの、投資活動および財務活動によるキャッシュ・フローが減少し、結果として現金及び現金同等物の期末残高が減少しています。次期は、税引前当期利益の増加を見込むものの、設備投資や配当金の支払いにより、現金及び現金同等物の期末残高の増加は小幅にとどまると予想されています。 また、気候変動が事業継続におけるリスクとして認識されています。気候変動は、企業経営において将来の重大なリスクであると同時に、企業活動の新たな機会創出の可能性もあると認識されていますが、具体的な対策がどの程度効果を発揮するかは不透明です。 さらに、従業員の健康増進に関する課題も存在します。国内での歯科健診受診率は90％と高いものの、アブセンティーズム（欠勤率）は2021年比で微増しており、海外については算出方法を検討中です。従業員の健康状態は、人材力に影響を与えるため、改善が必要です。 株式報酬制度についても、新株予約権の行使条件が複雑であり、従業員のモチベーションを十分に引き出せているかという点に課題が残ります。新株予約権の譲渡には取締役会の承認が必要であるなど、制約も多く、より柔軟な株式報酬制度の導入が望まれます。