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トーヨーアサノ
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企業分析
強み
株式会社トーヨーアサノの強みは、長年の事業経験と技術力に支えられた基礎事業と、安定した収益源である不動産賃貸事業の2つの柱を持つ点です。基礎事業では、コンクリートパイルの製造・販売で培った技術を基に、MRXX工法、Hyperストレート工法、HyperストレートNT工法といった独自の工法を展開し、高品質な製品と施工を提供しています。また、これらの工法に使用する新たな杭材料の許認可取得にも取り組んでおり、技術力の向上にも力を入れています。 さらに、ICT技術を導入した施工現場の管理により、施工品質の均一化を図り、効率的な事業運営を実現しています。脱炭素技術に関する情報収集も積極的に行い、環境変化に対応しています。 同社は顧客との緊密な関係を重視しており、営業部門が設計事務所、ゼネコン、販売会社などと連携し、顧客ニーズに応じた提案営業を行っています。また、主要な供給元との関係強化にも努め、資材調達の安定化を図っています。 品質管理体制も強みの一つです。製造、施工、営業部門からなる品質管理委員会を組織し、問題点を話し合い、トラブルを未然に防ぐことで高品質を確保しています。 財務面では、自己資本比率が25.49%と安定しており、有利子負債の圧縮にも取り組んでいます。株主総利回りも高く、株主への還元にも積極的です。 人材面では、社員のキャリア形成支援や教育制度の充実に注力し、安定した雇用環境を提供しています。コンプライアンス体制も整備され、法令遵守の徹底、内部統制システムの構築、リスク管理体制の整備にも努めています。 これらの強みを総合的に活かし、株式会社トーヨーアサノは安定的な事業運営と持続的な成長を目指しています。
弱み
株式会社トーヨーアサノの弱みとして、まず市場環境や需要の変動に影響を受けやすい点が挙げられます。主力の基礎事業は建設市場の動向に大きく左右されるため、需要が予想を下回った場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。実際に、過去の連結会計年度では、全国的な需要の低下と、以前連結していたコンクリートセグメント事業の譲渡が重なり、大幅な減収が発生しました。 また、原材料価格の変動リスクも懸念材料です。セメントや鋼材、LNGなどの主要原材料の価格は市場の変動に左右されやすく、価格が高騰すると収益に圧力がかかることになります。仕入れ価格の低減には努めていますが、市場価格の上昇を完全にコントロールすることは難しいのが現状です。 金利変動のリスクも無視できません。有利子負債の圧縮には取り組んでいるものの、東京工場のリニューアル工事や新本社の建設などで多額の借入金を抱えており、金利が上昇すると業績に影響を及ぼす可能性があります。 さらに、販売先の経営状況悪化による貸倒れリスクも潜在的な弱みです。与信管理システムを導入しているものの、販売先の急激な経営悪化による貸倒れを完全に防ぐことは難しく、債権の回収不能が業績に大きな影響を及ぼす恐れがあります。 同社は建設業許可を受けて事業を行っており、法令違反による許認可の取り消しリスクも存在します。また、品質に関するリスクとして、ヒューマンエラーや予期しない理由による品質の瑕疵、それに伴う工期の遅延や損害賠償請求が発生する可能性もあります。 安全管理に関しても、重大な事故が発生した場合、補償費用や社会的信用の失墜により業績に悪影響を及ぼすリスクが考えられます。 これらのリスクに加えて、従業員数が比較的少ないことも、事業規模の拡大を妨げる要因となる可能性があります。さらに、女性管理職の割合が低い点も、多様な視点を事業に取り入れる上で改善が求められます。 これらの弱みを認識した上で、同社はリスク管理体制の強化や事業の多角化を進め、より安定した経営を目指す必要があります。