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ファインシンター


従業員数パッケージプラン
月額: 4,400

Metrics

従業員数

データ粒度:month

従業員数(子会社を含む)


企業分析

強み

ファインシンターは、粉末冶金技術を核とした自動車部品、鉄道車両用部品、産業機械用部品の開発・製造販売を主な事業としています。特に自動車焼結事業では、半導体不足に伴う減産の影響が解消に向かい、国内や米国向けの製品販売量が回復し、増収となっています。また、成長分野である磁性材製品については、新型ハイブリッド車用のインバーター部品の増産を開始し、国内子会社に生産ラインを増設するなど、市場の変化に対応した事業展開を行っています。 同社はグローバルな生産体制も強みとしており、タイ、アメリカ、中国、インドネシアに子会社を持ち、自動車焼結製品の製造・販売を行っています。特に、アメリカンファインシンター㈱は、連結売上高に占める割合が10%を超える重要な子会社です。さらに、タイの子会社では第二拠点の立ち上げを進めており、グローバルでの生産能力の増強を図っています。 技術開発においては、開発・生産技術・金型部門を統合した「テクニカルセンター」を設け、開発力の強化と量産化までの加速を進めています。また、従業員の技能伝承にも力を注ぎ、デジタル技術や粉末冶金技術に関する教育を強化しています。 財務面では、自己資本比率が32.3%と安定しており、2024年3月期の業績は、売上高が423億90百万円、営業利益が4億13百万円と増益を達成しています。さらに、収益力向上に向けた取り組みとして、生産工程の効率化や整流化を進めており、今後も収益性の改善が期待されます。 加えて、従業員持株会向け譲渡制限付株式インセンティブ制度を導入し、従業員のモチベーション向上を図るなど、企業価値向上に向けた取り組みも積極的に行っています。

弱み

ファインシンターの弱みとして、まず棚卸資産の不適切会計問題が挙げられます。子会社であるファインシンターインドネシア㈱だけでなく、国内工場でも棚卸資産の過大計上が判明しており、これは同社グループ内における黒字化への強いプレッシャーや、棚卸資産管理に関する社内規定の不備、内部監査のモニタリング機能不全が原因とされています。この問題は、企業の信頼性を損なうだけでなく、業績にも悪影響を与える可能性があります。 また、同社は原材料価格の変動リスクにも晒されています。鉄粉等の金属粉を原材料として使用しており、これらの価格が高騰した場合、製品価格への転嫁が困難であれば、業績に影響を与える可能性があります。さらに、供給元の事故や資源国の政治・経済状況、人権侵害なども原材料・部品の不足や企業イメージの毀損につながるリスクも抱えています。 海外事業展開におけるリスクも無視できません。海外での製品生産・販売には為替変動リスクが伴い、1円/$あたり約10百万円の営業利益への影響があります。また、東南アジアでは自動車ローン金利上昇の影響で販売量が減少するなど、地域ごとの市場変動にも影響を受けやすい状況です。 加えて、感染症拡大によるリスクも存在します。感染症の拡大に伴う製品需要の低迷や生産の停滞は、同社の財政状態、経営成績、キャッシュ・フローに重要な影響を与える可能性があります。 さらに、情報セキュリティリスクも潜在的な弱点です。サイバー攻撃や情報漏洩が発生した場合、業務停止や業績悪化につながる可能性があります。 これらのリスクに加えて、人材育成や従業員のモチベーション維持も課題です。従業員が自身のキャリアを主体的にデザインできる制度への移行を進めていますが、60歳以降の働き方や多様な働き方の推進も今後の課題です。 また、一部の取引先への依存度が高い点も懸念されます。トヨタ自動車㈱が主要な取引先であり、同社の業績に大きく左右される可能性があります。