強み

株式会社豊田自動織機の強みは、事業領域の多様化とグローバル展開、高い技術力にあります。自動車事業、産業車両事業、繊維機械事業という異なる分野で事業を展開し、市場の変動リスクを分散しながら安定した収益基盤を築いています。特に自動車事業では、カーエアコン用コンプレッサー分野で株式会社デンソーと協力し、グローバル市場での競争力を強化しています。また、産業車両事業では、世界各地に製造・販売拠点を持ち、広範な顧客ニーズに対応できる体制を構築しています。 同社の製品は、技術力や品質において他社に追随を許さない高付加価値な商品とされており、研究開発にも積極的に投資しています。2024年3月期には、自動車セグメントで51,254百万円、産業車両セグメントで67,046百万円の研究開発費を計上しました。また、デジタル技術の活用を推進し、ベテラン層のデジタル実践教育や高年齢者向けの配慮をしたラインづくりを行い、誰もが活躍できる職場環境を整えています。 さらに、グローバルな人材育成にも注力しており、海外拠点への出向や駐在員派遣、海外研修生の受け入れを積極的に行っています。経営の基本方針として「公明正大」「社会貢献」「環境保全、品質第一」を掲げ、企業活動を通じて社会の発展に貢献しようとする姿勢も同社の強みです。

弱み

株式会社豊田自動織機の弱みとして、いくつかのリスクが挙げられます。まず、製品の欠陥によるリコールや製造物責任賠償のリスクです。同社は品質向上に努めていますが、全ての商品に欠陥がないという保証はなく、大規模なリコールが発生した場合、巨額のコストや企業評価の低下を招く可能性があります。 次に、価格競争の激化も懸念材料です。高付加価値な製品を提供しているものの、激化する価格競争の中で市場シェアを維持・拡大できなくなるリスクがあります。また、過去に発生したエンジン認証問題も経営に大きな影響を与えています。北米市場や国内市場向けのエンジンで認証取得の遅れや法規違反が発覚し、出荷停止や型式指定取消しの行政処分を受けました。この問題は信頼性を損なうだけでなく、多額の損失を引き起こす可能性があり、再発防止の取り組みが急務となっています。 さらに、同社の管理職に占める女性労働者の割合が低いことも課題です。現在、女性の管理職割合は2.0%にとどまっており、女性の活躍推進が必要です。また、労働者の男女間で賃金差異が大きく、全労働者で66.2%、正規雇用労働者で65.2%、パート・有期労働者で90.7%と、男性が高い傾向にあります。これは入社時の職種や高資格者の割合、平均勤続年数などが影響していますが、是正に向けた取り組みが求められています。 加えて、同社の事業は幅広い技術を利用しているため、第三者の知的財産権に関する訴訟リスクも存在します。