強み

ジェイテクトの強みは、まず「豊富なシーズ」と「高い固有技術力」です。長年にわたり培ってきたベアリングの生産技術を基盤に、自動車部品、産業機械用軸受、工作機械などの幅広い分野で製品開発を行っています。特に、自動車セグメントでは電動パワーステアリングシステムやドライブシャフトなど、高度な技術を要する製品を製造しており、その技術力は市場で高く評価されています。さらに、トヨタグループとの連携も強みの一つです。トヨタ自動車工業（現トヨタ自動車）から分離独立した経緯があり、現在もトヨタ自動車およびそのグループ会社が主要な顧客であり、安定的な取引関係を築いています。また、グローバル展開も積極的に進めており、海外の売上収益も増加傾向にあります。地域別に見ると、日本、北米、アジア・オセアニアでバランスよく売上を上げています。さらに、事業部間・グループ間の連携を強化し、組織の壁を壊すことで、継続的な収益力向上に取り組んでいます。2020年度以降、事業利益は右肩上がりに増加しており、その成果が表れています。また、人材育成にも力を入れており、「自ら学び、共に成長する文化」を醸成し、従業員一人ひとりの主体的な成長を促しています。加えて、リスク管理体制も整備されており、リスク管理委員会を設置し、リスクの自己評価や重点リスクの特定を行っています。これらの強みが複合的に作用し、市場競争力を高めていると考えられます。

弱み

ジェイテクトの弱みとして、まず外部環境の変化に影響を受けやすい点が挙げられます。特に、原材料価格やエネルギー費の高騰は事業利益を圧迫する要因となっており、産機・軸受セグメントでは減益となっています。また、為替変動の影響も大きく、円安進行に伴う為替差益が増加する一方で、支払利息やデリバティブ評価損も増加しており、金融費用が増加しています。さらに、特定の顧客への依存度が高いこともリスク要因として考えられます。主要な顧客であるトヨタ自動車およびそのグループ会社への売上依存度が高く、これらの顧客の業績変動や購買戦略の変化が自社の業績に大きな影響を与える可能性があります。また、製品保証引当金に関する不確実性も弱点の一つです。製品保証費用は、自動車メーカー等の顧客との負担金額の按分見込み割合に基づいて算出されますが、その見積りには不確実性が含まれており、予測不能な前提条件の変化により、引当金の追加計上や戻入が必要となる可能性があります。 加えて、財務面では、投資活動によるキャッシュ・フローが継続的にマイナスであり、有形固定資産や無形資産の取得による支出が大きいことが課題です。また、一部事業セグメントでは減損損失も発生しており、資産の効率的な活用が求められます。例えば、チェコ子会社の「自動車」セグメントでは、減損損失が計上されており、今後の業績動向が注視されます。さらに、組織体制においては、事業部間やグループ間の壁を壊す取り組みが進められているものの、依然として連携が十分に機能していない可能性も指摘できます。これらの弱点を克服し、更なる成長を遂げるためには、経営戦略の見直しや組織体制の強化が求められるでしょう。