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東光高岳
Metrics
企業分析
強み
東光高岳の強みは、電力機器事業と計量事業を中核に据えた事業展開にあります。電力機器事業では、小型変圧器等の配電機器の需要増加が売上と利益を押し上げ、計量事業では、計器の取り替え工事やスマートメーター、各種変成器類の需要の増加が業績を牽引しています。 また、GXソリューション事業の展開により、電気自動車(EV)用充電インフラ関連システムや自動検針システム、エネルギーマネジメントシステムの開発を通じて脱炭素社会への貢献を目指しています。光応用検査機器事業では、次世代3Dセンサの開発を進めており、特にチップレット技術への対応に力を入れています。 同社は、長年にわたり電力業界との信頼関係を築いており、東京電力パワーグリッド株式会社が主要な取引先となっています。また、海外にも拠点を展開しており、グローバルな事業展開が進んでいます。 さらに、品質管理体制の再構築にも注力しており、不適切事案を受けて品質マネジメントシステムの再構築、人材育成の強化、コミュニケーションの充実、意識・風土改革が進められています。多様な人材の活躍を推進しており、外国人や障がい者の雇用にも積極的に取り組んでいます。 これらの取り組みの結果、2024年3月期には過去最高の売上高と利益を達成しています。
弱み
東光高岳の弱みとして、まず品質管理体制の課題が挙げられます。過去にガス絶縁開閉装置や自動開閉器用遠方制御器、変成器類、特別高圧変圧器類で不適切な試験や成績書の記載などの品質不適切事案が発生し、再発防止が急務です。これらの問題は顧客信頼を損なう可能性があり、業績や財政状況に悪影響を及ぼす恐れがあります。 また、特定顧客への依存度の高さも弱点です。特に、東京電力パワーグリッド株式会社が主要な顧客であり、売上高の大部分が同社に依存しています。このため、電力業界の動向や同社の経営状況の変化が東光高岳の業績に大きな影響を与えるリスクがあります。 さらに、事業環境の変化への対応が課題です。電力業界は、燃料価格の高騰や競争の激化、カーボンニュートラルへの対応など大きな変化を迎えており、これに対応するためには生産性向上と徹底的なコスト削減が必要です。また、脱炭素社会への貢献を果たすために、再生可能エネルギー関連設備や電気自動車向け急速充電器の需要に応じたGXソリューション事業の強化も求められます。 加えて、海外事業におけるリスクも懸念材料です。特に、ベトナムの持分法適用関連会社においてのれんの減損損失が発生しており、将来の事業計画や経営環境の変化に対する不確実性が課題となっています。海外事業展開においては、市場状況を把握し、リスク管理を徹底する必要があります。 これらの弱点を克服するためには、品質管理体制の再構築、顧客の多様化、事業環境の変化への迅速な対応、海外事業のリスク管理強化が求められます。