強み

北陸電気工業の強みは、幅広い電子部品の開発・製造能力とグローバルな販売ネットワークにあります。特に、センサ技術においては、世界最速の応答速度を誇る容量式湿度センサの開発に成功し、高い技術力を示しています。また、MEMS製品では、半導体圧力センサを応用した水位センサを製品化し、既存技術の応用力も発揮しています。 抵抗器分野においても、高電力チップ抵抗器や耐サージ形高電力チップ抵抗器を開発し、車載分野やパワーエレクトロニクス分野に展開しています。さらに、安全部品として、独自の素材と構造による強力なアーク抑制特性を持つ速断タイプのチップヒューズを開発し、他社と差別化しています。 製品開発には、大学や公共研究機関、ソフトウエアメーカー、材料メーカーなどとのコラボレーションを積極的に活用し、機能性と市場ニーズに合った製品を迅速に開発しています。グローバルな販売ネットワークを持ち、香港、中国、タイに拠点を置き、各地域に合わせた販売活動を行っています。特に、北陸(上海)国際貿易㈲は海外販売の重要な拠点となっており、売上高も大きなものとなっています。 また、自動車向け需要の増加やEV、自動運転に関する電子部品の需要拡大といった市場の変化を捉え、新たな市場ニーズに対応した製品開発を進めています。特に、IoT関連商品として、特定小電力無線モジュールや太陽電池と無線ネットワーク、センサを一体化した製品などを提供し、サブスク型のIoTサービスも展開しています。これらの製品は、産業車両や登山者、山間部作業者などの多様な分野で活用されることが期待されています。 生産体制面では、東南アジアでの生産増強を進め、安定した生産体制とリスク分散を図っています。

弱み

北陸電気工業の弱みとして、まず挙げられるのは、電子部品事業が市場の変動に影響されやすい点です。同社が扱う電子部品事業は、技術革新のスピードが速く、顧客の要求が頻繁に変化するため、市場の需要を的確に予測し、タイムリーに新製品を開発して供給し続けることが困難な場合があります。また、スマートフォンやパソコンの需要減少に伴い、供給制約下で積み上がった在庫の調整が長引くと、電子部品の需要が停滞する傾向が見られます。 次に、過剰在庫のリスクも抱えています。市場環境や顧客の需要の変動によって過剰在庫が生じ、その評価損が業績や財務状態に悪影響を与える可能性があります。対策として、原材料の調達状況を随時監視し、適正在庫の確保や複数のサプライヤーからの調達、複数国からの調達を進めることでリスクの低減を図っていますが、完全にリスクを回避することは困難です。 さらに、新技術・製品開発におけるリスクも存在します。技術革新のスピードが速いため、急激な市場の変化や技術革新に遅れを取ると、事業や業績、財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。同社は市場ニーズを素早く察知し、新規顧客の開拓と製品開発を推進していますが、エレクトロニクス業界の激しい変化に対応し続けることは簡単ではありません。 また、知的財産に関するリスクも懸念されています。開発した技術が模倣されるリスクや、第三者の知的財産権を侵害し、訴訟や損害賠償請求を受ける可能性があります。特許出願前に先行技術調査を行い、知的財産権侵害リスクを低減する努力をしていますが、完全に回避することは難しいとされています。 さらに、海外子会社との取引における為替変動リスクもあります。同社は海外取引を米ドル建てで行っていますが、為替相場の変動は業績に影響を与える可能性があります。為替予約等を活用してリスクを低減していますが、完全に為替変動の影響を排除することはできません。 最後に、自然災害によるサプライチェーンの分断リスクも存在します。自然災害によりサプライチェーンが分断されると、安定した生産や供給が困難になり、物不足やインフレが進行する可能性があります。