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KYORITSU
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企業分析
強み
株式会社KYORITSUの強みは、印刷事業における長年の経験と実績に加え、多角的な事業展開を進めている点にあります。既存の印刷事業では、品質管理や収益分析を徹底し、部門間の情報共有を通じて全体最適を図る体制を構築しています。顧客の信頼を高めるために、受注媒体毎に製造品質会議を行い、製造品質を向上させています。 また、新たな事業領域への積極的な挑戦も同社の強みです。デジタルコミック関連事業や生分解性プラスチック、RPF、廃プラスチックを利用した新素材合成樹脂の開発・製造・販売など、社会的なニーズに対応した事業展開を積極的に行っています。これらの新規事業は、同社の成長を支える新たな柱となることが期待されます。 さらに、株主還元にも積極的であり、配当性向30%以上を目標に、安定的な配当を行うことを基本方針としています。中長期的な収益力目標を掲げ、データに基づいた合理的な製造基盤により効率性と収益性を確保することで、持続的な成長と企業価値の向上を目指しています。
弱み
株式会社KYORITSUの弱みとして、まず挙げられるのは、印刷業界全体の市場環境の厳しさである。デジタル化やペーパーレス化の進展により、印刷需要は減少傾向にあり、同社も激しい競争に直面している。このような状況に対応するため、事業領域の拡大や構造改革を進めているが、依然として既存の印刷事業への依存度が高いという課題がある。 また、新規事業の立ち上げには多額の設備投資が必要となり、財務的な負担が増す可能性がある。特に、生分解性プラスチック製造工場の建設などの新規投資は、収益回収までに時間がかかるため、短期的な利益への貢献が見えにくい。 財務面では、自己資本比率が中長期的な目標である40%以上に対し、2024年3月期で55.1%と目標値を下回っている。また、自己資本利益率(ROE)は0.61%と低水準であり、収益性の向上が課題となっている。さらに、のれんの減損損失を計上しており、企業買収後の事業計画の進捗に不確実性がある点も懸念される。 加えて、2024年3月期における従業員数が3名と極めて少なく、事業拡大に伴う人材不足が今後の課題となる可能性がある。内部統制システムの運用やリスク管理体制の整備を進めているものの、それらが十分に機能しているか、また不測の事態への対応能力を高める必要がある。