強み

ナレルグループの強みは、未経験者採用に特化した人材供給力と、若手人材を育成するためのメソッドを確立している点にあります。建設業界で進行する高齢化の中、同グループでは29歳以下の技術者が約64％、30～39歳の技術者が約26％を占めており、若年層の派遣が可能な体制を整えています。未経験者には建設業界の基礎知識や専門用語を学ぶ研修を提供し、さらに4～6年の実務経験を持つ技術者には一級建築士や施工管理技士などの資格取得を視野に入れた研修を実施しています。このように、経験年数に応じた育成体制を構築することで、技術者がより高度なプロジェクトに挑戦できる環境を整えています。 また、この育成体制は、技術者のスキル向上を通じて契約単価の引き上げにも繋がる仕組みとなっています。加えて、顧客からの強い需要に応えるため、技術者の採用を強化し、営業体制や技術者のキャリアデザイン支援にも注力しています。さらに、同グループが建設ソリューション事業とITソリューション事業という2つのセグメントを持つことでリスク分散を図り、安定した収益基盤を築いていることも大きな強みといえます。

弱み

ナレルグループが直面する課題として、退職率の高さが挙げられます。ワールドコーポレーションでは2024年10月期の退職率が29.1％、ATJCでは22.3％に達しており、採用者数の増加と退職率の低減が重要な経営課題となっています。 また、財務面では、金融機関からの多額の借入金やのれんの計上がリスク要因となっています。さらに、建設業界で時間外労働の上限規制が適用される中、人手不足が深刻化しており、労務管理を徹底する必要があります。一方で、テクノロジーの普及による省人化が中期的な人材派遣需要の減少につながる可能性があり、ICT導入に対応する人材供給への取り組みが求められています。 加えて、情報システムに重大な障害が発生した場合や、買収や合併、業務提携、新規事業が計画通り進まない場合には、経営成績に影響を与える可能性もあります。このような課題に対処し、持続的な成長を実現するための対策が必要です。