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乾汽船


業種:
倉庫
従業員数パッケージプラン
月額: 4,400

Metrics

従業員数

データ粒度:month

従業員数(子会社を含む)


企業分析

強み

乾汽船株式会社の強みは、多角的な事業展開と、それぞれの事業における専門性を活かした収益基盤にあります。具体的には、以下の点が挙げられます。 外航海運事業では、ハンディサイズ船に特化し、バルク資源輸送という世界的な需要と連動した安定的な市場で事業を展開しています。環境規制への対応が課題となっていますが、長期的には輸送能力の停滞・減少と需要の増加が見込まれ、市況の好転が期待されています。また、同社は、市況変動や環境規制の動向を注視し、柔軟な船隊整備を行う方針です。 倉庫・運送事業では、一般倉庫、文書倉庫、引越事業などの多岐にわたるサービスを提供し、顧客の多様な物流ニーズに対応しています。ペーパーレス化の影響を受けつつも、効率化や新規需要の開拓により業績改善を目指しています。特に、文書保管事業は、連結子会社の引越事業とともに取扱高が増加しています。 不動産事業では、東京都勝どき・月島エリアに特化して賃貸事業を展開し、地域密着型の強みがあります。再開発計画に伴う変動要素があるものの、このエリアの需要は引き続き好調と見込まれています。また、同社は再開発時に耐震構造への転換を念頭に置き、住民とともに災害への備えを行っています。 さらに、同社は強固な財務基盤を有しており、有利子負債の削減やアセットバックローンの活用により、安定的な資金調達を行っています。取引銀行との良好な関係も、事業活動を支える重要な要素です。 これらの事業展開に加え、リスク管理体制の整備も強みといえます。為替変動、金利変動、燃料価格変動などのリスクに対して、デリバティブ取引や内部統制システムを活用し、リスクの低減と安定的な収益の確保に努めています。 また、同社は、コーポレート・ガバナンス体制を強化し、社外取締役を過半数にするなど、経営の透明性を高め、株主からの信頼を得ています。指名・報酬委員会の設置や、独立社外役員による経営監督も、その一環です。

弱み

乾汽船株式会社の弱みとして、まず事業構造上の偏りが挙げられます。収益の多くを特定のエリア(勝どき・月島)の不動産事業に依存しているため、このエリアで大規模災害が発生した場合、事業に甚大な支障をきたす可能性があります。また、外航海運事業は、市況や為替の影響を大きく受けやすく、特にハンディサイズ船においては、環境規制への技術的・経済的な対応の困難さから船腹供給が滞る可能性も指摘されています。 以下に、事業別の弱みをまとめます。 外航海運事業では、市況変動の影響を受けやすいことが挙げられます。また、為替変動による収益悪化のリスクや、環境規制への対応がコスト増を招く可能性もあります。さらに、ハンディ船の輸送能力の停滞・減少が懸念されています。 倉庫・運送事業では、ペーパーレス化による紙取扱量の減少が文書倉庫事業に悪影響を及ぼす可能性があります。働き方改革による引越需要の減少も懸念され、一部案件の撤退による倉庫運送料の減収があるとされています。 不動産事業では、勝どき・月島エリアへの集中が災害時のリスクを高めています。再開発計画に伴う入居者・テナントの退去による売上高の減少が見込まれ、また首都圏の賃貸市場の需給バランスの変化や市況動向の影響を受ける可能性があります。 さらに、全般的な弱みとして、以下のような点が指摘されています。 組織規模の小ささにより、女性管理職の登用目標設定が困難であり、男性労働者の育児休業取得率は高いものの、対象人員規模が限定的であるため、今後の拡大が課題となります。為替変動リスクについては、円資金とドル資金で資金繰り管理を行っていますが、急激な円安局面には対応しきれない可能性もあります。また、借入金の一部に財務制限条項が付されており、これに抵触した場合、財政状態に影響を及ぼす恐れがあります。 さらに、船舶燃料価格の変動は運賃に転嫁するものの、急激な変動時には対応が難しいとされています。繰延税金資産の回収可能性は将来の収益力に依存しており、外部環境の変化に影響を受ける可能性もあります。情報システムのリスクについても、外部からの不正侵入により損害が発生する可能性があります。 これらの弱みを克服するために、同社はリスク管理体制の強化、事業の多角化、地域分散化などを進める必要があると言えます。