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建設技術研究所
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企業分析
強み
株式会社建設技術研究所の強みは、長年にわたり培ってきた高度な専門性と技術力です。1945年の創業以来、ダム建設をはじめとする社会資本整備の様々な分野で調査・計画・設計業務を手掛けており、その実績と経験は同社の大きな強みとなっています。 多様な分野における専門知識と実績も強みの一つです。同社は、河川、道路、橋梁、上下水道、環境、防災など、社会インフラに関わる幅広い分野でコンサルティングサービスを提供しています。これにより、顧客の多様なニーズに対応できる体制を整えています。また、国内だけでなく海外でも事業展開しており、グローバルな視点でのプロジェクト遂行能力も有しています。 同社は技術力向上にも注力しており、研修等を通じた社員の技術力強化、計画的な研究開発の推進、生産システム改革などを進めています。また、社員の幸福を重視し、ウェルビーイングを推進しており、これが創造性や生産性の向上に繋がっています。さらに、事業継続計画(BCP)を策定し、自然災害や感染症などのリスクにも対応できる体制を整備している点も強みと言えます。 さらに、同社は、取引先との良好な関係の構築や、企業連携、事業シナジー等を重視しており、政策的に必要と認めた場合には、株式を保有することで、これらの関係を強化しています。
弱み
株式会社建設技術研究所の弱みとして、まず、不適切な原価管理が挙げられます。2024年2月に、人件費等の業務原価の付け替えが行われていたことが発覚し、社内調査委員会が設置されました。この問題は、複数の事業拠点で複数の従業員によって行われており、その結果、売上の先行計上や遅行計上、業務損失引当金の計上漏れといった不正な財務報告が確認されました。この原価管理の問題は、同社の内部統制の不備を示唆しており、信頼性を損なう可能性があります。 また、インフレによるコスト増も課題となっています。特に、民間部門やオーストラリア等においては、インフレによるコスト増の価格転嫁が進まず、採算性が低下しています。 さらに、気候変動への対応の遅れもリスクとして認識されています。同社は、気候変動関連の技術開発に取り組んでいるものの、対応が遅れると事業機会を喪失する可能性があります。 人材確保・育成についても課題があります。高度な専門性や公的資格を持つ人材の確保は、同社の競争優位性を維持するために不可欠ですが、人材の成長停滞や研究開発の低迷は、技術力の低下に繋がる可能性があります。 最後に、長時間労働や各種ハラスメントも潜在的なリスクとして挙げられます。これらの問題は、社員の心身の健康に悪影響を及ぼし、生産性の低下や労働法令違反による社会的信用の失墜を招く可能性があります。同社はこれらのリスクに対して、対策を講じているものの、継続的な取り組みが求められます。