3377バイク王&カンパニー初回レポート
証券コード3377 バイク王&カンパニーについて、2024年11月期及び2025年11月期にわたる業績予想について紹介する。同社は1994年9月に中古バイク買取事業で創業し、2005年6月に東証スタンダード市場に上場している。バイク事業を主力とし、売上高全体の92.0%を占める。中古バイク買取・販売の先駆者として、効率的かつ低コストのオペレーションを実現しており、業界首位の認知度と買取台数を誇る。
バイク事業では、主にホールセールとリテールの2つの販売チャネルを展開している。
ホールセールでは、買取したバイクを業者向けオークションを通じて販売している。週1回のオークションで売却するため資金回収が早く、リテールと比較して平均車輌単価は低いものの、相対的に売上総利益率が高い。これは継続的な仕入価格の適正化やオークション相場の好調な推移が要因である。
リテールでは、買取車輌の中でも状態が良く、売れ筋の車種を同社の店舗や「バイク王ダイレクト」等Webサイトを通じて一般消費者向けに販売している。リテール顧客のボリュームゾーンは16~24歳、40~54歳が中心となっている。これは免許取得層の若者と趣味として楽しむ余裕のあるリターンライダー層の二極構造を反映している。
その他事業では、フランチャイズ契約および業務提携を軸とした新規事業を展開している。2023年12月に完全子会社であった株式会社バイク王ダイレクト、株式会社ライフ&カンパニーを吸収合併し、バイクパーツ・用品・電動モビリティの販売、四輪の買取・販売、ブランド品の買取・販売などを行っている。また、2023年7月に子会社化した株式会社東洋モーターインターナショナルを連結の範囲に含め、収益基盤の拡大を図っている。
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2024年11月期は、事業モデルの転換に取り組んだ年となった。2Q以降、広告宣伝費の削減と効率化を図り、買取主体から小売主体の事業モデルへ転換。また、車輌コーティングやパーツ交換などの付帯サービス強化により1台当たりの収益性を向上させた。これらの施策により、売上高33,965百万円、営業利益286百万円と増収増益で着地した。
上記が今回行った業績予想である。
バイク事業のホールセールについては、売上高を販売台数と車輌売上単価に分解して予測している。小売主体の事業モデルへの転換方針により、ホールセールの販売台数は2025年11月期も引き続き減少すると予想している。一方、車輌売上単価はインフレや円安による海外からの需要増によるオークション相場の上昇傾向が継続すると見込み、緩やかな上昇を予測した。
リテールについては、販売台数の増加と車輌売上単価の緩やかな下落を予想している。販売台数は、既存店の販売効率向上や新規出店効果、アウトレット車輌販売強化などにより前期比約2.5%増を見込んでいる。車輌売上単価は、より幅広い顧客層を取り込むための価格帯の車輌拡充を進めることから、やや低下すると予測した。しかし、付帯サービスの強化により1台当たりの粗利額は維持・向上する見通しである。
その他事業は、東洋モーターインターナショナルの連結効果が通年で寄与すること、また車輌コーティングやパーツ交換などの付帯サービスの継続的強化により、前期比15%程度の成長を見込んでいる。
販売費については、広告宣伝費削減の方針を継続することから、前期比でやや減少を予想。一方、人件費は従業員一人当たりの人件費を算出すると、業績好転による賞与増加などの影響で単価が上昇する見込みであり、全体としての販売費及び一般管理費は前期比で微増となると予測している。
以上の予想と会社予想、四季報予想、コンセンサスとの比較を以下に示す。
我々の予想では2025年11月期の予想は売上高、営業利益ともに会社予想および四季報予想を下回る結果となった。これは、広告宣伝費削減による仕入台数減少の影響や、リテール事業への転換過程における一時的な効率化コストを考慮したものである。
同社は中期的な成長戦略として新たな事業領域の拡大にも取り組んでいる。特に電動モビリティ販売の強化やレンタルバイク事業については、現状では業績に与える影響は軽微とされているものの、バイク事業とのシナジーやユーザー接点の増加により、新たな収益の柱となることが期待される。特に二輪の電動化の流れに合わせた取り組みは、今後の市場変化に対応するための先行投資として注目に値する。一方で、Web広告が中心となっている広告宣伝費については、抑制・効率化の方針を示しているが期ごとに変動が大きく、オークション相場の影響も受けやすいため、どの程度の利益が出るのか見通しが立てづらいというのが現状である。また、小売主体の事業モデルへの転換過程においては、店舗や人員の最適配置などの構造改革コストも発生する可能性がある。さらに、バイク市場全体の動向や若年層の嗜好変化も中長期的なリスク要因となりうる。投資判断を下す際にはこのような点を踏まえた上で慎重に判断する必要があるだろう。