7610 テイツー2025年2月期3Q決算後レポート
1月15日に発表されたテイツーの2025年2月期3Q決算を受けて業績予想のアップデートを行った。
まずテイツーが発表した実績値と我々の予想の差異について確認していく。

売上高は-4.8%と四半期単体では実績に対してマイナス方向に乖離が生じたが、営業利益については-65.4%と予想を大きく下回る結果となった。商材別にみると、新品ゲーム(+4.2%)、新品ホビー(+14.7%)、中古ホビー(+3.3%)およびその他収入(+78.0%)は予想を上回ったものの、特に新品トレカ(-11.3%)と中古トレカ(-11.0%)の落ち込みが目立つ結果となった。トレカ事業の不振は市場相場の低迷による影響と考えられ、会社側がすでに言及している中古トレカの相場下落と価格調整の影響が表れたものと推測される。
商材別の前年同期比で見ると、ホビー関連が引き続き好調を維持し、新品ホビーは特に成長が顕著である。一方でトレカ事業は前四半期から続く市況低迷の影響を受け続けており、売上・利益の両面で圧迫要因となっている。新品ゲームについては一定の回復が見られるものの、同社が決算説明会で触れていた「人気タイトルに匹敵する商品の発売がなかった」影響が引き続き見られる。中古本は継続的なデジタル化の影響を受け、減少傾向にある。
全体として、商材ポートフォリオの多様化により一部商材の不振をカバーする体制構築が進みつつあるが、トレカ事業の落ち込みをカバーするには至らず、利益面では大幅な未達となった。ただし、会社側の説明通り4Qに入ってからトレカ市況に回復の兆しが見られることから、来期の業績回復に期待がかかる。
同社は3Q決算発表時に通期業績予想の下方修正を行っており、特に営業利益では当初の1,500百万円から780百万円へと大幅な引き下げを実施した。この修正の主な要因は、中古トレカ市況の長期的な低迷と新規出店に伴う投資および諸費用高騰による販管費増加である。今回の4Qは、この下方修正された予想に対しても利益面で未達となっており、トレカ事業の回復に時間を要していることを示している。ただし、当社が掲げる中長期目標(2029年2月期に売上高500億円、営業利益25億円)に向けて、トレカ一辺倒からの脱却とホビー事業の強化、TORICO社との連携によるエンターテインメント要素の拡充など、多角的な成長戦略を展開している。


今回の決算開示を受け、業績予想のモデルの更新を行ったので紹介する。変更した点は以下である。
・2025年6月5日に約5万円でNintendo Switch 2の発売が決定(初代Switchは約3万円)したため、テイツーの初代Switch発売時のセグメント別売上高データが開示されていないことから、競合のゲオの新品売上高における発売前後の推移を参考に、新品ゲームと中古ゲームの来期2Q以降のYoY成長率をそれぞれ設定した。
・中古トレカ市場が2024年2月あたりの水準まで回復しており、直営店舗数も前年同月期から10店舗増加しているため中古トレカのYoY成長率を10%~15%と置いた。

今回の3Q決算は、新品トレカ、ホビー商材が好調に推移した一方で、中古トレカの相場下落の影響と新規出店に伴う投資による販管費増加により、前年同期と比較して減益となった結果となった。この状況を受け、通期業績予想を売上高36,800百万円(-600百万円)、営業利益780百万円(-720百万円)へと下方修正するなど、厳しい局面も見られた。今後については、中古トレカ市場の回復兆候が4Qに入って見え始めている点や、TORICO社との連携によるエンターテインメント要素の拡充、オリジナルIP商品の展開開始など、将来に向けた成長施策の進展が注目される。また、トレカ読取査定機「TAYS」の特許取得による販路拡大や、ホビー取り扱いの強化による商材ポートフォリオの多様化も期待できるポイントである。一方で、中古トレカの市況回復が予想通りに進むか、諸費用高騰の影響がどの程度継続するかなど、不確実性も存在している。さらに、2029年2月期の中長期目標(売上高500億円、営業利益25億円)達成に向けて、今後の成長加速が実現できるかどうかも注視すべき点である。投資判断を下す際にはこのような点を踏まえた上で慎重に判断する必要があるだろう。