7610 テイツー2025年2月期通期決算後レポート
4月15日に発表されたテイツーの2025年2月期通期決算を受けて業績予想のアップデートを行った。
まずテイツーが発表した実績値と我々の予想の差異について確認していく。

2025年2月期の通期決算では、売上高は予想10,485百万円に対して実績10,545百万円と同等の水準だった。商材別に見ると、特に新品トレカが予想2,000百万円に対して実績2,525百万円と525百万円(+26.3%)と大幅に上回る結果となった。一方、中古品全体では予想5,785百万円に対して実績5,520百万円と265百万円(-4.6%)のマイナス乖離となった。
売上原価は予想を135百万円下回り、販管費も114百万円下回ったことで、営業利益は予想209百万円に対して実績519百万円と310百万円(+148.3%)の大幅なプラス乖離となった。これは主に新品トレカの好調な売上と効率的な在庫・経費管理によるものと考えられる。
年間を通じてみると、連結売上高は364.7億円(前年同期比+3.6%)と増収となった。しかし、年度前半は中古トレカの相場下落の影響を大きく受け、営業利益は9.1億円(前年同期比-31.6%)と減益となった。特に1Qから3Qまでは中古トレカの価格下落による粗利益率の低下に苦戦したが、4Qに入り市況が回復傾向となったことで、第4四半期単体では営業利益5.2億円、営業利益率4.9%を達成している。
商材別の動向としては、新品トレカが前年比+16.6%と好調に推移し、ホビー商材も新品が+38.1%、中古が+23.8%と大きく伸長した。一方、中古トレカは市況の低迷により前年比-2.4%となった。


今回の決算開示を受け、業績予想のモデルの更新を行ったので紹介する。変更した点は以下である。
・今期の実績を踏まえ、販管費項目のうち広告宣伝費については売上高に対する比率を1.1%から設定。特にTVCMやSNS広告の強化が継続すると想定し、前期比で若干の上昇を見込む
・手数料については、キャッシュレス決済の普及やEC事業の拡大、FCビジネスの成長に伴い増加傾向が続くと予想。売上高の約5.0%程度で推移すると想定
・トレカ事業については4Qに見られた市況回復が継続すると仮定し、中古トレカの粗利率を前年同期比で改善する想定に修正

今回の通期決算では、テイツー社は売上高で前年比3.6%増の364.7億円と増収を達成したものの、年度前半の中古トレカ市況の低迷により営業利益は前年比31.6%減の9.1億円と大幅な減益となった。しかし第4四半期に入り市況が回復基調となり、単四半期では営業利益5.2億円と大きく改善した点は評価できる。特に新品トレカとホビー商材の好調な伸びが全体を支えた形となっている。
今後については、2026年2月期の業績予想として売上高400億円、営業利益11億円と増収増益を見込んでおり、中長期的にも2029年2月期に売上高500億円、営業利益25億円という目標を掲げている。TORICO社との連携強化やトレカ読取査定機「TAYS」の全国展開、タブレット検索機の導入など、事業基盤強化への取り組みが進展している点に注目したい。
一方で、トレカ市況の変動は同社の業績に大きな影響を与えることが改めて確認された。特定商材への依存度を下げるべく、ホビー商材の強化などに取り組んでいるが、その構成比はまだ低く、今後どのように商材バランスを改善していくかが課題である。来期はNintendo Switch 2の発売が予定されており、ゲーム関連商材の売上増加が期待できる点はポジティブ要因であり、競合のゲオの初代Switchハード発売前後の新品売上推移を参考に、テイツーでも相応の売上増加を予想している。新ハードの発売は中古ゲーム市場にも影響を与える可能性があるため、その動向にも注視が必要である。投資判断を下す際にはこれらの点を踏まえた上で、慎重に検討することが望ましい。