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6570 共和コーポレーション 初回レポート

公開日:2025年07月29日
Note

 証券コード6570 共和コーポレーションについて、今期における業績予想を紹介する。同社は、1986年5月に長野県で設立された企業で、同社は東京証券取引所スタンダード市場に上場している。同社はアミューズメント施設運営事業、アミューズメント機器販売事業、その他事業の3事業を展開しており、主力のアミューズメント施設運営事業が売上高全体の約91.5%を占める。

 アミューズメント施設運営事業 では、「APINA」などのブランドでアミューズメント施設を直営展開している。「明るい・安心・三世代」をテーマに、清潔な店舗と丁寧な接客を強みとし、特に人気の景品ゲームジャンルに注力。ゲーム機の増台や魅力的な景品の充実に加え、公式アプリ等を活用した販促活動で顧客層を拡大している。個人消費やインバウンド需要の回復を背景に来店者数は好調に推移し、2025年3月期には過去最高の売上高を記録した。現在は長野、新潟、富山から首都圏、愛知、宮城まで幅広く展開しており、今後はM&Aも視野に入れながら首都圏を軸に出店を加速させ、早期の100店舗体制を目標に掲げている。

 アミューズメント機器販売事業 では、新品・中古のアミューズメント機器及び景品の販売を行っている。アミューズメント業界全体で景品ゲームが好調であるため、景品ゲーム機や景品の需要が増加している。特にぬいぐるみやフィギュア、小型家電などの景品販売が堅調に推移しており、オリジナル景品の販売も積極的に実施している。

 その他事業 には、主に各種媒体を利用した広告代理店業、同社グループが所有する不動産の賃貸業、子会社である株式会社ブルームのスクイーズを使用したオリジナル景品の販売などが含まれる。ブルームの事業ではECサイトでの物販や国内直販店の販売が堅調であったが、海外卸は中国における個人消費の低迷の影響を受けた。 また、2024年12月には当社初業態となるトレーディングカード専門店「トレーディングカードピット長岡店」を「アピナ長岡店」の1階に出店している。地域最大級の売り場面積を誇り、新品・中古カードの販売や買取を手掛け、多数のタイトルを取り扱っている。施設の2階にある「アピナ長岡店」との相乗効果を図っている。

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上記は共和コーポレーションが開示しているデータを基に我々が独自に行った業績予想である。

 同社の成長は、独立系アミューズメント施設企業としての専門知識と施設運営・機器販売・その他事業という多角的な事業展開および積極的な出店戦略の相乗効果に支えられている。特に、国内のレジャー需要拡大を捉える施策が、全社的な増収および増益を牽引している。

 全社的な業績を見ると、売上高の伸長が物価高や円安による仕入れコスト増を吸収し、全ての段階利益で過去最高を達成した。出店店舗数の増加に伴う売上原価率の改善が確認される。その要因はとして店舗数の増加によりプライズの一括発注量が増え、メーカーへの価格交渉力が向上し、景品等の仕入れ単価の低減や複数店舗への配送ルート最適化や店舗間での在庫融通による物流と管理の効率化が考察される。この原価改善の土台となったアミューズメント施設運営事業では、景品ゲームジャンルの堅調な人気と来店客数の増加が業績を力強く牽引している。2025年3月期には、鳥取県の「アピナ米子店」や四国地方の「アピナ善通寺店」など計6店舗を新規出店し、期末総店舗数は5店舗増の65店舗となった。これらの積極的な出店戦略に加え、清潔な店舗づくりや丁寧な接客、YoutuberとのコラボといったSNS等を活用した販促活動が功を奏し、売上高は2025年3月期に過去最高を達成した。

 一方で、アミューズメント機器販売事業は、景品販売は堅調だったものの、景品ゲーム機の入替需要一巡により減収減益となった。その他事業では、子会社によるECサイト販売が好調に推移したほか、2024年12月には初のトレーディングカード専門店を開業。既存事業との相乗効果を図り、売上高は継続的に増加している。

以上の予想と会社予想との比較を以下に示す。

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我々の予想では2025年3月期の予想は売上高、営業利益ともに会社予想と同水準となった。

 共和コーポレーションの財務状況は、積極的な事業拡大と財務健全性の向上を両立させている点が特徴である。出店費用やゲーム機器への旺盛な設備投資を継続しつつも、有利子負債への依存度は着実に低下しており、強固な財務基盤が構築されている。有利子負債依存度は2024年3月期の42.9%から2025年3月期には38.4%へと4.5ポイント低下した。有利子負債の残高自体も60億8,807万円から59億930万円へと減少している。一方で、自己資本比率は同期間に28.1%から31.6%へと向上しており、これは利益剰余金の着実な積み上がりが自己資本の充実に寄与した結果である。この財務体質の変化は、キャッシュ・フローの動向からも裏付けられる。財務活動によるCFは、2024年3月期の3億4,774万円の収入超過から、2025年3月期には3億546万円の支出超過へと転じた。これは、新規の長期借入額を抑制する一方で、既存負債の返済を継続的に進めた結果であり、新たな借入への依存を減らす経営方針への転換を示している。

特筆すべきは、こうした負債圧縮と並行して、成長に向けた投資を加速させている点である。積極的な店舗出店は、潤沢な営業活動によるCFや内部留保といった自己資金によって賄われており、外部資金に頼らない成長サイクルが確立されつつある。投資判断を下す際にはこのような点を踏まえた上で慎重に判断する必要があるだろう。