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大型変圧器の世界的供給不足:現状と背景

公開日:2025年08月03日
Note

グローバルな需給構造と主要プレイヤー

世界の電力用大型変圧器市場は需要超過の状態。各国の電力インフラ投資やエネルギー転換の加速により需要が急増。

2020年時点の地域別販売シェア:

  • アジア太平洋:39%
  • 欧州:24%
  • 中東・アフリカ:17%
  • 北米:15%
  • 南米:4%
  • 中国は世界最大の変圧器輸出国で、2022年には総額5.41兆円もの変圧器を海外輸出。米国は需要の80%以上を輸入に依存(2019年は大型変圧器約750台中、8割超を輸入)。主な調達先はメキシコカナダ中国韓国。ただし地政学リスクから、中国製大型変圧器の使用制限・警戒の動きも。

    大型変圧器の製造は高度な技術と巨大設備を要するため、大手メーカーが世界市場を牽引:

  • 日立製作所傘下で旧ABB社の事業を継承した日立エナジー(本社スイス)
  • シーメンス・エナジー
  • GEグリッドソリューション
  • 韓国現代エレクトリック
  • ブラジルWEG
  • 国内では三菱電機富士電機明電舎
  • 中国勢も特変電工(TBEA)や中国西電集団など多数のメーカーが存在するが、中国国内需要が大きいため輸出は限定的。

    供給面では、生産能力が限られた寡占的市場であることが現在のボトルネックの一因。大型変圧器は製品ごとに設計が異なる「一品生産」が多く、新規参入や増産が容易でない。主要メーカーは1980年代頃に技術蓄積を果たした企業が多く、巨額投資の回収に長期間を要することから大規模な設備増強に慎重。結果、一部メーカーではフル生産状態が続いて利益率が向上しているものの、新工場建設による供給余力拡大には消極的。

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